ハモリ講座
「連続講座第7回」実践的なアレンジ〜その1
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 すこしペースが遅れてきてしまいましたが、お待たせしました。7回目からはいよいよ実際に曲をアレンジしていきたいと思います。その前に、ちょっとだけ、一歩進んだ音楽理論を勉強して下さい。今までのは基礎中の基礎でしたから今回の理論はアレンジにする時により実践的な手段になります。

そして、後半で実際に曲のアレンジを進めて行きますが、編曲する歌は「島唄」です。みなさんもうご存じですよね?今までは「理論の基礎」でしたから、これからは、それを応用する方法について話を進めます。


まず今回の見出しですが、
  1.少し進んだ音楽理論

(1)セブンスの和音1
ア.ドミナント・セブンス  (○7)
イ.マイナー・セブンス   (○m7)
ウ.メジャー・セブンス   (○M7)
エ.マイナー・メジャー・セブンス(○mM7)

(2)ナインスの和音
ア.ドミナント上のナインス
イ.その他のナインス
(3)よその調の和音を使う1〜同主短調の和音を使う
ア.同主短調のサブドミナント
イ.同主短調のドミナント(-9)
(4)セブンスの和音2
ア.ハーフ・ディミニッシュ・セブンス
イ.ディミニッシュ・セブンス
(4)よその調の和音を使う2〜セカンダリー・ドミナントの使用
(5)キラキラ星第3弾!
(6)ベースラインとメロディラインのおいしい関係
今までに比べてだんだんてんこ盛りの内容になってきましたが、繰り返し精読(!)して、カッコイイオリジナルアレンジにチャレンジしてみましょう!
1.少し進んだ音楽理論 (1)セブンスの和音1
 前回アレンジしたキラキラ星(リンク)の中で、G7 (ソシレファ)という和音 を使いました。今まではソシレ、という、3つの音で出来ている和音(=3和音)を基本に 考えて来ましたが、よりオシャレなアレンジをするには、ソシレファ、のように、4つの音 から出来ている和音を勉強することをお薦めします!
 なんでセブンス、って言うのかですが、その和音のルート(根音)から数えて7度目の音だからです。ソシレファの、ソとファは、7度の音程関係にあるからです。セブンスの和音にはいくつかの種類がありますから、まずそれを覚えましょう。(図1・各セブン スの和音)楽譜をクリックすると大きくなります
ア.○M7・・・メジャー・セブンス 【長3和音+長7度】(図1−I)

長調−IM7、IVM7 の和音です。(CM7、FM7)
短調−IIIM7、VIM7(EbM7、AbM7)
イ.○m7・・・マイナー・セブンス【短3和音+短7度】(図1−II)

長調−IIm7、IIIm7、VIm7の和音です(Dm7、Em7、Am7)
短調−Im7、IVm7(Cm7、Fm7)
ウ.○mM7・・・マイナー・メジャー・セブンス【短3和音+長7度】(図1−III)

これは、長調、短調とも、調の固有音では出来ませんが、例えば、短調のIの和音(ドミ♭ソ)の上に、シのナチュラル(短調の道音)が重なった時に出来る音です。
エ.○7・・・ドミナント・セブンス【長3和音+短7度】(図1−IV)

長調、短調ともV7です。(G7)
ドミナントセブンスは、とても大事な和音で、ソシレファの導音とセブンス の音の音程関係(シとファ)が、減5度という音程関係になります。この和音が鳴っ た時に、導音(シ)は主音(ド)に、セブンス(ファ)は中音(ミ)にそれぞれ進み たいな、という気分にさせる響きです。(図2・G7の進行)
このドミナント・セブンスに含まれる減5度は、その調を決定づける大事な音程です。それゆえ、ドミナントの(支配的な)和音と言われるのです。(1回目を参照のこと)
(2)ナインスの和音
 ナインスの和音も、セブンス同様です。今度は4和音の3度上の音(根音から数 えて9番目の音)を加えます。
ア.ドミナント上のナインス
 ドミナントの和音(ソシレファ)の上に3度を重ねると、ドミナントナイン スの和音が出来ます。ピアノ等で和音を弾いてみましょう。(図3−I)ドミナントナ インスのコード)

 この和音= G9(ソシレファラ)をドミナントの位置で使用すると、G7の和 音に比べてふわっと音色が広がった感じになります。
イ.その他のナインス
レファラドの和音上に、ミの音、根音から数えて9度目の音を加えればナイ ンスの和音になります。Dm7の上の9th を加えた和音をDm9、CM7の上に9th を加えた和音を CM9と書きます。(図3−II)

 少し話がそれますが、カッコ良いメロディラインは、たとえばドミソシのコ ード(CM7)が鳴っている時に、シの音やソの音、レファラド(Dm7)のコードが 鳴っている時にはドやソの音、という風に、根音から離れた音(テンション と言います)を使っている事が多いです。もちろん、和音の根音を使ってメロディを 作る事も出来ます。ちょっと具体例を出してみたいと思います。  皆さんご存じのサザンのいとしのエリーですが、このサビの部分を分かりや すいようにハ長調で書きます。
下の楽譜はクリックすると大きくなります
  ここでは、コードがDm9です。旋律は9thを使っていますね。この曲では、こ のサビに入る部分だけを、メロディラインを9thにして、ベースの根音から距離をう んと離しています。とても効果的な使い方です。
ベースのラインと「音程」を離すので はなく、理論的な音の関係を遠ざける、というのがカッコイイアレンジの秘訣の一部分 でもあるんです。
こういう風にコードの根音と理論的に離れている音をテンション、と言います。「今度の曲はさ、サビんところ、テンション入れて行くのはどう?!」という具合に。
(3)よその調の和音を使う1〜同主短調の和音を使う
 ある調を決めてアレンジを進める場合でも、他の調の和音を「借りる」ことがし ばしばあります。ここでは、同主短調の和音を借りる場合のみについて話をします。 同主短調ってはじめて聞く言葉かもしれませんが、簡単です。ハ長調とハ短調の関係 です(図5ハを主音とする同主調)。
なんかピンと来ないなあ、という気分になるかもしれませんが、実際の音を聴いてみると、ああ、この音のことだな、と感じるのでは、と思います。皆さん良く知っている和音のはずです!
ア.同主短調のサブドミナント
II とIVの「ラ」の音を半音下げた和音のことです。色んな曲でしばしば使わ れるのが、IV→-IV という進行です。(図6−I 同主短調のIVの和音)ピアノで試しに 弾いて見て下さい。

 イ.同主短調のドミナント(-9)
V9のナインスを半音下げた和音です。ソシレファラ♭です。コードネームはG- 9となります。(図6−II 同主短調のドミナント・ナインス)
(4)セブンスの和音2(図7ハーフディミニッシュとディミニッシュの7thコード)

 セブンスの和音について話をしましたが、もう2種類のセブンスの和音があります。
ア.○m7-5・・・ハーフ・ディミニッシュ・セブンス(減3和音+短7度)
ハ長調で言うと、シレファラの和音です。この和音は、通常、ドミナントの 和音として使われることが多いのですが、ちょっと視点を変えて見て下さい。シレファ ラ、の下にソの音を加えると、ソシレファラ、G9の和音になります。ですから、たとえ ばBm7-5という和音は、G9のルートを省略した和音と見なすことができます。
イ.○dim7・・・ディミニッシュ・セブンス(減3和音+減7度)
ディミニッシュセブンスは、ハーフディミニッシュセブンスのセブンスの音が半音下がった和音です。ハ長調で説明しますが、シレファラの、ラの音が♭になります。ハーフ・ディミニッシュ同様、ドミナントの和音として使うことができますが、ハーフディミニッシュ・セブンスはハ長調の和音、ディミニッシュ・セブンスは同主短調であるハ短調の和音であると言えます。
(4)よその調の和音を使う2〜セカンダリー・ドミナントの使用
 セカンダリードミナントって、あまり聞いたことがないかもしれません。でも、こ の和音が使えるようになると、すごくシアワセな気分になれると思います。サザンの 曲も、MISIA の曲でも、実はたくさん出てきている音です。  さっき、サザンのいとしのエリーを例に出しましたが、ここのサビに入る直前の和 音を見てみます。(図8サザンのサビの直前、Dm のドミナント)下の楽譜はクリックすると大きくなります  ここでは、ハ長調なのに、A7 が出てきます。A7 は、ラド#ミソですから、これは ハ長調の音階の音だけで出来ている和音ではないので、よその調の和音と言えます。
 ちょっと頭をクリアーにして考えてみて下さい。A7という和音は、ドミナント・セ ブンスの和音ですよね(つまり二長調=Dメージャーと二短調=Dマイナーの)?それが、ハ長調で出てくると、「セカンダリー・ドミナント」という呼び名になります。ドミナントであるG7はハ長調の主和音に解決しますが、セカンダリー・ドミナントであるA7は、ハ長調のIIの和音(Dm)に解決します。
 このように、セカンダリー・ドミナントは、ある調にあるそれぞれの和音を仮に「主和音(トニック)」に見立てた時のドミナントになる和音のことです。こういう和音の使い方もあるのです。  下の図を見て下さい(図9各和音にとってのドミナントコード)下の楽譜はクリックすると大きくなります ア.A7 →II (Dm)のためのドミナント
イ.B7 →III(Em7)のためのドミナント
ウ.C7 →IV(F)のためのドミナント
エ.D7 →V(G)のためのドミナント
オ.E7 →VI(Am)のためのドミナント 注意して欲しいのですが、VII の和音は、減3和音ですから、この和音を「トニッ ク」に見立てることは出来ませんから、VIIに解決するためのセカンダリー・ドミナ ントはありません。 
(5)キラキラ星第3弾!
 前回までのキラキラ星を、今回の理論を使ってカッコイイ和音を使ってアレンジし てみました。
最後の小節は、V-9 の和音が出てきます。V9 (ソシレファラ)の、同主短調の同じ ドミナント・コード(ソシレファラ♭)を借りてきて使っています。その他にも、2 小節目の4拍目は、II の和音にとってのドミナント(=A7)を使用しています。(図 10)下の楽譜はクリックすると大きくなります
(6)ベースラインとメロディラインのおいしい関係  図10のキラキラ星を良く見てみて下さい。最初のメロディラインは、ドドソソラ ラソ−と、ラの音に向かって上がって行きますよね?それに対して、ベースラインは 、ドドシシララ、と下がって行きます。次に、3小節目からは、メロディラインが、 ファファミミレレ、と下がってきているのにたいして、ベースラインはレレミミファ −、と上がってきています。
こういうふうに、メロディラインとベースラインが一緒 の方向に向かって動くのではなく、反対を向いて動くほうが、カッコイイ編曲が出来 ます。
もちろん、全部の箇所が反対方向に向かう必要はありませんが(というか、そ れは無理です!)メロディが上がる、っていうことは盛り上がるっていうことなので すが、ベースラインは対照的にどんどん低い音に向かった方が、曲全体をどっしりと 支えるサウンドになるわけです。ベースは縁の下の力持ちですから、メロディライン の言いなりになって追従しちゃうベースラインではなく、きっぱり自己主張のあるベ ースラインを書くように心がけましょう!  ここまで来れば、皆さんはもうアレンジに必要な基本的な知識がある、っていうこ とになります!次回、「非和声音」という理論について少しお話をします。あとはも っと難しい、カッコイイ理論も、ありますが、取りあえず今までの理論を良く思い出 しながら、実際に曲のアレンジを皆さんと一緒に進めてみたいと思います。お楽しみ にして下さい!
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