ハモリ講座
「連続講座第8回」実践的なアレンジ〜その2「島唄」を2人でハモる
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それでは、いよいよ、実際にアレンジしてみたいと思いますが、まず、いくつか注 意することがありますので、見てみましょう。
(1)メロディの音域を確認!
 まず、メロディをよ〜く見てみて、メロディの最高音を探しましょう。だって、皆さんのバンドのリードボーカルにとって、その最高音が高すぎたりすると、せっかくアレンジしても歌えません。
反対に、低すぎると、リードボーカルの「おいしい表現力」をそいじゃうことになってしまいます。いろんなポップスのメロディは、そのバンドのボーカルの音域に一番ちょうど良い調になっているんです!
調、っていうの は、ボーカルだけではなく、いろいろな楽器にとっても「ちょうど良い」音域にメロディを置くためにも大切な役割を果たしているんです。
(2)もし音域が合わなかったら?
 もし、メロディの最高音が、リードボーカルの声域に合わない場合、どうしたら良いでしょう? 答えは、「移調」するんです。
 ちょっと注意して下さい、「移調」と「転調」を混同してしまう人が多いのですが、「移調」は、楽器や声域に合わせて曲全体の調を移すことで、「転調」は、作曲やアレンジのテクニックとして、曲の途中から他の調に飛ぶことです。
 ちょっと話がそれましたが、具体的に、メロディをどうやったら移調出来るかの話をします。
まず、最高音をどれだけ上げたり下げたりしたら良いのか、考えます。キラキラ星で考えてみますが、最高音は音名で「イ(A)」ですよね? 一般的なボーカルだと、最高音はあと4度か5度上が無難ですので、とりあえず5度上げてみましょう。
移調するときの手順ですが、
ア.5度上げると、「イ(A)」の音が、「ホ(E)」に移ることに気づく。
イ.ハ長調での「イ(A)」の音は、音階の6番目の音(VI)なので、移調先の調では、「ホ(E)」の音が6番目になるんだなあ、と考える。 ウ.そうしたら、「ホ」の音から、6度(正確には短6度です)下の音を探せば、その音が、移調先の「主音」になる。 ここまで来れば簡単です。答えは、「ト長調」ですね!
なので、まず、移調するに当たって、ト音記号の右に、♯を一つ付けましょう。あとは、「ト(G )」の音を音階の1番目の音として考えて、メロディを移すだけです。
(3)コードの移調の方法
 次に皆さんを悩ませるのは、コードネームですよね。メロディの移調でさえ、ちょっと難しいんだから、、、と思うかもしれません。でも、コードの移調は、移調先の調が決定してからの作業になりますから、それほど難しいことはありません。<
 まずは、元の調のコードが、何度の和音なのかを調べます。そして、移 調先の調では、その度数の和音が、どういうコードになるのか、ということを考えれば良いんです。たとえば、○m7は、移調先でも○m7です。元調の○m7が、移調先で○7とか○M7というふうに変わってしまうことはありません。
ここで、違いをはっきり理解しておく必要があるのですが、コードネームは、その和音固有の名前で、和音の度数(I とかII とかIIIとか)は、その調での「順番=その調での和音の機能」を表していることになります。例えば、ハ長調でDmはI の和音、つまりサブ・ドミナントなんですが、ヘ長調では同じDmが、VIの和音、つまりトニックになります。
プロのアレンジャーや作曲家は、この和音の理論が、どんな調に対してでも、すぐにパズルを組むみたいに頭に入っているんです。ジャズ・ミュージシャンは、それを演奏中にリアルタイムで考えて(考えているヒマはないですけど)即座に実行出来る、ということです。すごいですよね!
3.The Boom 「島唄」のアレンジ・その1 〜二人でハモル場合編〜
 実際のアレンジですが、二人でハモル場合から始めましょう。二人でハモるって、基本ですよね!でも、二人でカッコ良くハモルためのアレンジが出来ると、そこには、大勢でハモるアレンジのためのヒントがすごくたくさんあるんです。
(1)3度ハモリについて

 みなさん、2人でハモル場合、どうしよう?、というときに「3度ハモリ」でやる事ってありませんか?メロディの上か下で3度でハモル、って、簡単にきれいにハモることができます。でも、3度でハモっていて「あれれ?」と思ったこともあるんじ ゃないでしょうか?
 まず、島唄のBメロですが、(図4−I)これをメロディの上に3度ハモリでし てみると、こういうことになります(図4−II)。



 今度は、メロディの下で3度ハモリしてみるとこうなります(図4−III)


 メロディを単純に3度で平行にハモっても、あんまりきれいじゃないんです。なん できれいじゃないか、一緒に分析してみましょう。
(2)なんで「3度」?
 では、メロ譜にコードを書き込んでみます(図5−I)。この時に、コードに含ま れない音がメロディに出てきますよね?これがさっき話をした「非和声音」なんです 。コードに含まれている音だけでメロディは作れないんです。とりあえず非和声音は 置いておいて、今度は、メロディに和音を重ねてみましょう(図5−II)。こうして メロディに和音を重ねてみると、3度ハモリの骨格が見えてきますね。


上の楽譜はクリックすると大きくなります。
 3度の平行でハモりたいなあ、と思っても、たとえば、図4−IIIを参考にすると、ここでの和音はC#m7 ですから、メロディの最初の音、C#の3度下の音(ラ)を重ねてしまうと、たしかに3度ハモリにはなるのですが、本来の和音であるC#m7とは違った音になってしまいます。
なんで上手くいかないのかな、ということは、6回目の連載でも書いた「和音の転回」を思い出して下さい。ここで、C#m7の転回を見てみましょう(図6)。
C#の音に対して、上には3度重ねることが出来ますが、すぐ下のC#m7の構成音はシ の音で、その下はソ#になります。なので、これは、C#m7だけに言えることではなく、メロディがそこでのコードのルート(根音)を使っている場合には、メロディの下では3度ハモリはできないんです。
(3)「3度ハモリ」のコツ!
 じゃあ、どうしたら3度ハモリがカッコ良くなるんでしょう。それは、適度にユニ ゾンを使うことです。二人でハモっているパートが、離れたり、一緒になったりする んです。そうすることで、そこでの和音の響きを失うことなく、きれいにハモルこと が出来ます!(図7)

このハモリでは、「ウージ」まではユニゾンでシンプルに響いて、「のもり」のところから二人の音が別れてハモリを生みます。次のG#mに落ち着くところで一旦ユニゾンに戻って、次の「あなたとであい」のフレーズの始まりと共に二人の音域が広がって「であい」で、またそっとユニゾンに戻ります。
 歌う時には、ユニゾンになる部分とハモル部分をしっかり意識すると、こんなシンプルなアレンジでも、すごく格好良くハモルことが出来るんです!

 今回書いた事を含めて、アイディアを出して二人ハモリ版「島唄」をアレンジしました。
一部メロ譜とコードが違っていますが、これは、アレンジをするときには良くあることなのですが、これからアレンジする楽器や人数や、いろいろな事を考慮して、コードを変更することがあります。でも、和音の進行の方法は常に理論に沿っているんです。あと、二人ハモリの場合は、必ずしもコードネームで示されているベースラインが、下を歌っているパートに当てはまってもいません。二人ハモリのベース抜き版と考えて歌ってみて下さい。!出来れば有る程度同じ声域の二人で、「沖縄」っぽい音楽の節で歌うとすごく良いハモリが出来ると思います。頑張って下さいね!
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島唄 二人版ハモリ譜 はこちら
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