ハモリ講座
「連続講座第10回(最終回)」実践的なアレンジ〜その4「島唄」を5人でハモる
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 いよいよ最後の連載になりました。連載を始めた頃は、もっと頻繁に更新しようと思っていたのですが、ちょっと最後はペースダウンして申し訳ありませんでした。
でも、その分、みなさん、じっくり読んで頂けましたか(!?) 今回、島唄を5人版でアレンジしました。そのアレンジノウハウも含め、次の項目について話を進めたいと思います。
(1)リード1人、コーラス3人、ベース1人で!
(2)さいごに

(3)「アカペラアレンジ法」出版のお知らせ!
 なんと、ここでの連載をさらに分かりやすく(!)解説したアカペラ・アレンジの マル秘ブックが出版されます。10回の連載では説明しきれなかった内容も詳しく載せる事が出来ました。 譜例もたくさんあって、実に使いやすいこの本は原稿ももう仕上がり、出版を待つだけとなっているんですが、詳しい事は、 アット・エリーゼでもお知らせしますので、よ〜くチェックして下さいね!ハモリ 講座も、連載が全て済んでしまっても、ひょっとしたら(!)イレギュラーに何か が更新される、なんていう可能性だってありますので!!
(1)リード1人、コーラス3人、ベース1人で!   前回、アレンジや作曲は、まず材料を揃えて、それからお料理をするように処理して、最後にお皿に盛りつける、という事を書きました。今回のアレンジでは、曲の進行での盛り上げ方等、材料の並べ方は「3人版」とほぼ同じ構造になっています。ただ、三弦のソロが入るところは、5人がそれぞれのメロディを歌って、フレーズとフレーズがもっと複雑に重なるようなアレンジにしてあります。三弦のイメージを損なわないように、しかも奥行きや広がりのある沖縄の海や空をイメージするようなアレンジにしてあります(図1)ので、ちょっと見てみて下さい。
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 ではまず、今回アレンジした5人版の「島唄」について、どんな風なアレンジになっているのか見てみましょう。今回は、リードボーカル(1人)、コーラス(3人)、ベース(1人)という設定でアレンジをしました。3人版で、ベースが入ると、それだけで「和声感」がしっかりすると書きました。今回は、コーラスパートが3人ですから、完全なハーモニーを作ることができます!そこで、ちょっと和音で、「重なると汚い音」、「省略しても良い音」、「絶対になくちゃいけない音」、の話をします。
ア.重なると汚い音
この「島唄」のコーラスではおおむね7thコードを使っています(覚えていますか?ドミソシ、みたいな4和音のことです)。今回のアレンジでは、ベースと3パートのコーラスの合計で、同時にならせる音は4つになりますから、ちょうど、4和音が鳴らせるということになります。ただし、その時に、4和音を構成している音全てを、ベースとコーラスパートに必ず割り振らないといけない、ということでもないんです。例えば、
E→C#m7→G#m7→F#m→B7→E
という進行で(「しまう〜たよかぜにのり〜・・・」のところです)図2−aみたいに常にベースがルートで、それに会わせて和音を縦に均等に組み合わせていくと、それぞれのパートは、音があっちこっちに跳んで、これだと、メロディライン以上にインパクトが付いちゃったり、きちんとした音程でハモッていくのが難しくなっちゃったりします。
そこで、図2−bのように、なるべく、和音の共通音をそのまま隣のコードに受け渡す、という方法でコードを繋いでいくと、とっても歌いやすいアレンジになるんです!
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 その時に注意して欲しいのですが、ハ長調で言うと、「ドミソシ」「ファラドミ」「ソシレファ」の「I」、「IV」、「V」の和音では、下から2番目の音を、他のパートと重複しないようにして下さい!。和音が濁ってしまうんです。例えば、こういうコード進行を見たことありますよね?
(図3−a・C→G/B)
(図3−b・G/F→C/E)


 この場合、G/BとC/Eのベースは、それぞれの和音のルートから2番目(3度)の音なんです。ですから、ベースラインでこの音が出てきたら、この図みたいに、上の和音ではこの音をはずすとすごくきれいな響きになります。もう一つ、G/Fの「F」は、「ソシレファ」の和音の「ファ」の音、つまり、G7の7thの音なんです。この7thの音は、「一つ下の音に降りたい!」という濃いキャラクターを持っていますから、この音も、重複すると、和音が重くなってしまいます。反対に、それ以外であれば、重複してなってもきれいな響きになります。
イ.省略しても良い音、絶対になくちゃいけない音
 「ドミソシ」という、CM7の和音だと、省略しても良い音は、「ソ」の音です。
何となれば、「ドミ○シ」だけでも、十分、CM7の響きになるんです。反対に、「ド」や「ミ」を省略しちゃうと、それぞれ、「○ミソシ=Em」、「ド○ソシ=CM7?それともCmM7?」、ということになってしまいます。ですから、「ド」と「ミ」は、この和音の一番基本的な部分を支えている音ですから省略出来ません。じゃあ、「シ」の音は省略しちゃだめなの?と思っているヒト、ここでは、「CM7」ですから、「シ」がないと、タダの「C」になってしまいますから、それはとりあえず 論外です!こういうような事を頭に入れて、「島唄」コーラスパートを良く見てみましょう。ここで書いた、「重複しちゃいけない音」は、他のパートとダブルで出てきたりしていないはずです。反対に、「なくちゃいけない音」は必ずあるし、「省略しても良い音」は、その必要があれば省略しています。
 キーワードは、「和音の共通音を保持して」、「省略して良い音、ダブったらダメな音をきちんと意識して」コーラスを繋いでいくことです!頑張って皆さんオリジナルアレンジ、トライしてみて下さい!!
(2)さいごに 10回の連載が終わりました。皆さん、音楽理論とアレンジの方法、一歩前進しましたか?
 実は、音楽理論は、ここからが勝負、っていうのも事実です。
「理論」っていうのは文字通り「論理的」な組立ですから、地道にコツコツ「論理的」思考だけでオンガクをやっていても(歌うにしろアレンジするにしろです)最高に良いオンガクを生み出すことは出来ないと思います。じゃあ、あと何が必要なのか?ということですが、それは、例えばアレンジの場合、「ひらめき」みたいなものだと思います。
論理的にコツコツ積み重ねる作業を続けながら、ある瞬間、「あ、こんな風な和音の組み合わせだって出来るんだ!」というひらめきが見えることに出くわすことがあります。その瞬間を逃さずキャッチすることです。実際に、「あ、これだ」っというひらめきに出くわした時には、プロの作曲家でも、思わず口元が「ニヤ〜」と、ゆるんで嬉しくなっちゃうものです。そして、ひらめきがたくさん盛り込まれたオンガクは、仕事が終わった後々も、愛着が湧きます。
 さて、みなさんは、この連載を読んで、よりオリジナリティ溢れるハモリバンドの活動を広げて行くことが出来ると思います。その時に、ただ、「方法」に留まることなく、アレンジして歌う「音楽」について、きちんとした考え方を持つように心がけましょう。
 ちょっとピンと来ないかもしれませんが、まずはその「歌」の「歌詞」をよ〜く読んで、その音楽を作った人が、その音楽を通して何を伝えようと思ったのか、そして、今度は、そのメッセージを皆さんが歌うことで、皆さん自身が聴く人に「伝えたい!」という何かを心の中に抱くことが大事です。音楽をやる上で、「アレンジ法」とか「ハモリアンサンブル法」というような事柄よりも実はもっと大事な事だったりします。
 具体的に説明すると、最後にアレンジした「島唄」ですが、この歌の「詞」、みなさん、良く読んだことありますか?とても辛い悲しい詞です。「でいごの花」って、なんなんだろう?、「ウージの森であなたと出会い、ウージの下で千代にさよなら」って、どんな意味なんだろう?そこの歌詞が意味する事柄をきちんと考えて、心で受け止めた時に、この音楽との正しい向き合い方が出来るんだと思います。
 それは、この「島唄」に限ったことではなく、全ての音楽に言えることです。「技術」の次に来る大事な事柄は「ハート」ですよね。ブルースの女王っていわれた淡谷のり子さんの名文句で、「歌は心よ」(今の若いヒトは知らないかもしれません・・・)というのがありますが、私達も、それを大事に、良い音楽づくりに取り組みましょう!!
(3)アカペラアレンジ法、出版のお知らせ  シンコー・ミュージックより、アカペラアレンジをどうやったら出来るんだろう、という本が出版されます。タイトルは
『かんたんすぎる!? アカペラ・アレンジ(秘)ブック』 で、特徴は、
(ア)アカペラ・アレンジ、どうしたら出来るのか、あっという間に理解できる!
(イ)必要に応じて音楽理論の基本をきちんとチェック出来る!
(ウ)あなたのアレンジしたい曲を、すぐにアレンジすることが出来る!
(エ)ウェブじゃないので、持って歩ける!
(オ)7曲のアカペラナンバー収録!しかもオリジナルアレンジで!
(カ)楽譜に合わせた音源を収録したCD付き!等々.......
と、まだまだ特徴あるんですが、これだけ列挙しても、かなり「おいしい」本であること間違いなしです!発売時期はまもなくですが、詳しい日にちは、確定次第お知らせしますからお楽しみにして下さい!
ご注意:この講座は2001年に書かれたものです。上記の本は現在では出版されていないようです。
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