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「連続講座第4回」〜ネコでもわかる音楽理論の基礎〜その1

 いよいよ基本の音楽理論に入ります。楽典の本を買って見てみたけど、全然分からないよ〜、っていう人もあきらめないで下さい。
 基本的な事を、分かりやすく、楽しくお話してみたいと思いますので。でも、これを押さえておかないと、実際の「アレンジ」するアイディアを形にするのは困難なことになってしまいます。今回の内容あっての「アレンジ」 です。

まず、箇条書きで見出しを書きますが、
1.音の名前
2.音程
3.音階
4.調

という順で書きます。

 どの項目も、音楽の基本中の基本です。なので、心して読んで下さいね。

1.音の名前

 私たちは、普段、ドレミファソラシドって言いますよね。それとは別にハニホヘトイロハとも言います。
 なんで??と思うでしょう。小学校か中学校の音楽で、「階名」「音名」というのを習いませんでしたか?
 ドレミファ〜は、階名、ハニホへ〜は、音名です。

表1
ドレミファソラシド←←階名
ハニホヘトイロハ ←←←音名
CDEFGBC ←←←←英語
do re mi fa sol la si do ←←フランス語
C D E F G A H(ツェー、デー、エー、エフ、ゲー、アー、ハー) ←←←ドイツ語

 じゃあ、音名、と階名、ってどう違うの?っていうことですが、音名は、各音の固有の名前で、階名はいろんな調の中での音同士の間隔を示すための名前です。

もう少し分かりやすく説明します。
たとえば、キラキラ星ですが、学校で、
 ドドソソララソー
 ファファミミレレドー

って習いますよね。ところが、たとえばこれをヘ長調で歌ってみると
 ファファドドレレドー
 シ♭シ♭ララソソファー

になっちゃいます。(図1)
図1
図1

 でも、両方とも、始まる音の高さは違うけど、どちらも、同じキラキラ星に聞こえますよね?最初の音が違うだけなら、ドドソソララソーという歌い始めの音の高さだけを変えて、そのままファファドドレレドーじゃなくって、ドドソソララソーって歌っちゃって良いじゃないか、というのが階名です。

 音名と階名、なぜ二通りの言い方があるのかというと、
 音名=その音固有の名前
 階名=音階の中での順序
を、それぞれ示す必要があるからです。ジャズの理論では、階名を、順番に数字で呼んだりします。キラキラ星は1155665−4433221−と歌ったりします。

 こうやっていろんなメロディを覚えれば、いろんな調ですぐに演奏できるようになるわけです。
 ですので、日本語で話をする場合、ドレミ〜、と、ハニホ〜の使い分けを明確にしておく必要があります。
 どんなときに大事になってくるかっていうと、後で出てくるコードネームや調の話になったときに、その違いがクリアーになっていないとちょっとやっかいなのです。
 アレンジをするのに実際に使うのは日本語と英語だと思いますので、表1は頭に叩き込んでおいてくださいね!

2.音程

 音の名前は覚えましたか?
 次に大事なことは、音と音との間隔です。ピアノの鍵盤を見てみると、1オクターブが十二等分されています。(鍵盤の図)
 その十二個の音と音の間隔のことを音程と言い、何通りかの決まった呼び方で表します。

 まず、基本ですが、ド−レは2度、ド−ミは3度、ド−ファは4度、という風に数えます。じゃあ、ド−シは何度ですか?ちょっと数えて見て下さい。ドレミファソラシです。簡単ですね、7度です。

 次に、1度から8度まで、それぞれの各度数の音程には、それぞれの個性があって、個性に応じて、グループ分けすることが出来ます。

例題1:下の楽譜の音程はそれぞれ何度の関係にあるでしょうか
図

正解! 不正解! Final Answer?

長短系 2度 3度 6度 7度
完全系 1度 4度 5度 8度

 このグループは丸覚えして下さい。
次に、長短系、完全系の音程の特徴をくわしく見てみましょう。

 長短系・・・たとえば、2度ですが、半音と全音の2種類あります。半音を短2度、全音を長2度(メジャー2nd)と言います。同様に、3度も、たとえば、ド−ミとミ−ソとではどち らも3度なんですが、鍵盤の図でよく見てみると、ド−ミは半音5つ分、ミ−ソは半音4つ分なのに気づくと思います。
 広い方を長3度(メジャー3rd)、狭い方を短3度(マイナー3rd)と言います。同様に6度、7度についても、数えてみて下さい。幅が広いところと、狭いところの2種類があるのに気づくと思います。

 完全系・・・今度は完全系(パーフェクト)の音程ですが、1度、8度、4度、5度に関しては、「完全」に決まった半音の数があって、それよりも「広い」か「狭い」かしかありません。それよりも半音一つ分広い音程を、たとえば増1度(オーギュメント1st)、増5度(オーギュメント5th)、というように、反対に狭い音程を減5度(ディミニッシュ5th)、減4度(ディミニッシュ4th)と言います。

 

 

例題2:次の音程は何度か選択肢から選んでください。

例題2-1

例題2-2

例題2-3

例題2-4

 

 

3.音階と調

 (1)長調の音階−1
 音階って何かっていうと、ドレミファソラシドという音の配列のことです。図4を 見て下さい。

図4
図4

 今からは、調についても触れなくてはいけないので、各音を、数字で記します。ドレミファソラシドの下にあるのがそれです。
 よく見ると、1234(ドレミファ)、というグループ、5671(ソラシド)、というグループが二つくっついてドレミファソラシドという音階が出来上がっていることに気づきませんか?この音階の中で、音は、それぞれ役割を持っています。

 1=主音(しゅおん)トニック
 4=下属音(かぞくおん)サブドミナント
 5=属音(ぞくおん)ドミナント
 7=導音(どうおん)リーディング・トーン
という言葉を覚えましょう。

(2)長調の音階−2
 ドとレ、レとミは全音、ミとファは半音です。同じように、ソとラ、ラとシ、シとドのそれぞれの音どうしの間隔は全音、全音、半音になります。
 つまり、ドレミファの並びと、ソラシドの並びは、どちらも同じ音程関係なんですね。この同じ音程関係の4つの音が、「全音」でつながれていった時にドレミファソラシドという音階が出来るんです。
 これを長音階と言います。ちなみに、この音程間隔で、他の音から始めると、たとえば、ソの音から始めます。ソラシドレミファソになりますよね。(図5)
図5
図5

 ソから始めると、12345671の、6と7の音程間隔が半音になってしまい、7と1の音程が全音になってしまいます。なので、ソの音から始まる長音階(Major Scale)を作るためには、最後の7の音(ファ)に♯を付けます(図6)。
図6
図6

 これで、12345671の音程関係が正しくなります。なので、ソの音から始まる長音階(ト長調=GMajor)は、ト音記号やヘ音記号などの音部記号の右に、常にファが♯だよ、という「調号」がついているんです(図7)。
図7
図7

 ドレミファのドの音が、ハ長調の主音なのにたいして、ソの音は、属音ですよね?
 なので、ト長調は、ハ長調の属音から始まる調、つまり、属調、と言います。
 なので、属音というのは、主音の完全5度上の音です。下属音は、ちなみに主音の完全4度上の音なんですが、ひっくり返すと(ドシラソファと下がって考えてみると)、完全5度下の音なんです。

下属音主音属音
完全5度

(3)それぞれの音から始まる「調」
 1オクターブの全ての音から、この音程関係さえ守って順番に音を並べれば、長調の音階を作ることが出来ます。とにかく(全音−全音−半音)−全音−(全音−全音 −半音)という音程関係を守ればいいんです。
 じゃあ、なんで1オクターブの全ての音からドレミファ〜を始める必要があるのか、っていう話しですが、それは、楽器の音域とか、人の声が出せる音域にメロディの音域を合わせる必要があるからです。歌のメロディは、歌う人にとって、ちょうど良い高さにないと困りますよね。楽器にとっても同じことが言えます。
図8
図8

 図8は、調号と始まる音の関係です。覚え方ですが、
♯が1個のト長調から、一つ増える毎に、トニイホロヘハ
♭が1個のヘ長調から、一つ増える毎に、ヘロホイニトハ
と覚えると楽です。しかし、♯の場合、最後の、ヘ、ハは、その音自体(主音)に♯がついていますので、それぞれ、嬰ヘ長調(えいへちょうちょう・F#Major)、嬰ハ長調(えいはちょうちょうC#Major)と呼びます。
 ♭のほうは、ロ、ホ、イ、ニ、ト、ハ 自体に♭がありますから、変ロ長調(B♭Major)という風に呼んでいきます。

各調の調号と主音の位置(シャープ系は一番右のシャープのひとつ上の音が主音になる。フラット系は同じくひとつ手前のフラットの位置が主音の位置になる。)
図9
図9

 (3)長調と短調
 図4をもう一度見て下さい。ハ長調の音階です。そして、ハ長調のドの音の短3度下の音から始めた音階をイ短調と言います。
 ハ長調とイ短調は、どちらも、ト音記号のすぐ横に♭も♯もないので一つのグループになっています。他の調も同じです。
 ヘ長調だったら、3つしたのニの音から始まる短調がグループなので、ヘ長調とニ長調がグループです。この二つのグループを「平行調」って言います。全ての長調、短調は、それぞれの平行調を持ちます。
図10:主調・属調(主調の5度上の調)・下属調(主調の4度上の調)と平行調(それぞれの3度下の調)

ヘ長調・FMajor
(下属調)
ハ長調・CMajor
(主調)
ト長調・GMajor
(属調)
ニ短調・DMinor
(下属調の平行調)
イ短調・A Minor
(ハ長調の平行調)
ホ短調・EMinor
(属調の平行調)

次の音階は何調で、シャープもしくはフラットがいくつつくでしょうか?
図

 長調の音階と違って、次の短調では、3種類の音階を使用します。 これも頭にたたき込んじゃいましょう。

(ア)自然短音階
自然短音階
短調の音階の原型で、その主調の音だけを使っています。ようするに、イ短調だったら、ラの音から始めて、ハ長調と同じ音(シャープもフラットも付いていない)だけつかえばいい音階です。

(イ)和声短音階
和声短音階
自然短音階の最後の7の音を半音上げて、次の主音との音程間隔を半音にします。半音にすることによってソ#が、主音ラに対する導音になります。

 なんで♯になるのか、というと、和音の話しに関係してきます。
 ハ長調だとソシレの和音は、ドミソに移りたい気分にさせる和音なんだよ、と言うことを最初の連載でちらっと触れたのですが、そのソシレの中にあるシの音は、導音と言って音楽の流れを主音に落ち着かせる役割がある音なんです。
 ドレミファソラシドと音が上がってくるときに、シとドが半音だということから、この感覚は生じています。
 しかし、短調では、音階の7番目の音と主音の音程は全音です。なので、道音を作るために7番目の音を半音上げた短音階が、和声短音階です。

(ウ)旋律短音階
旋律短音階
和声短音階をピアノで弾いてみて下さい。ラシドレミファソ#ラですが、ファとソ#の間だけが、音階の中で、他の隣同士の音程間隔よりも広くなっちゃっています(半音3つ分)。
 導音を作るという目的ならば、和声短音階で十分なんですが、旋律として、短音階を弾いたり歌ってみたりすると、この、ファとソ#の音程間隔は、どうも不自然で違和感を覚えると思います。
 それを防ぐために、ラシドレミファ#ソ#ラと、ファの音にも#を付けたのが、旋律短音階です。さらに、下降してくる時には、自然短音階になります。

 下降してくる時には、主音と導音が半音である必要は無いんです。導音っていうのは、とにもかくも主音に行く音です。下降するときには、主音に行きませんよね。
 なら 、一番自然な短調の音階で降りてこよう、というのが旋律短音階です。短調の中で、メロディとして一番美しい音階ですよね。上がって下りてくるだけでも 、音楽的に聴こえませんか?

ここまでが今回の内容です。
 だんだん難しくなってきましたね、ゆっくり何度も読み直して下さい。
ちょっと難しくても、基本をしっかり押さえて置かないと、カッコイイアレンジ出来ませんので、ご一緒にがんばりましょう!

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編著者: 柴山拓郎

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著者プロフィール

柴山拓郎 柴山 拓郎(作曲)
 1971年東京生まれ。ポピュラー音楽からテクノロジー音楽まで 幅広いジャンルの音楽を越境する現代音楽作曲家。2000年から『@ELISE』にてJ-POPのピアノ編曲なども数多くこなし、同ページではハモリ講座を執筆、アカペラのアレンジ法に関する音楽理論をわかりやすく解説する。

 97年東京音楽大学大学院修士課程修了。作曲を西村朗、池辺晋一郎、湯浅譲二、遠藤雅夫の各氏に師事。93年第62回日本音楽コンクールに、94年秋吉台国際作曲賞にそれぞれ入選。また、秋吉台作曲セミナーで、C・チェルノウィン、G・シュテープラー、K・シムの各氏に作曲を師事する。96年より 、作曲家団体「深新会」に所属し定期的に新作を発表。98年には、古楽器奏者と作曲家から成るグループ「アルコバレーノ」の結成に参加、以降毎年古楽器奏者と共に演奏会を企画、古楽器のための作品を作曲する。また、同年より、日本を代表する打楽器アンサンブル、パーカッショングループ72のメンバーとして、作編曲や 楽曲解説の執筆の他、J.ケージ、E.ヴァレーズ等の演奏にも携わる。2000年、オルガンのための「Monologue」が、松居直美氏によりオランダ各地で演奏された他、同年秋には、アムステルダム旧教会にて同氏によりCD収録された。邦楽器への取り組みも多く、二十絃箏のための「monody(1999)」をはじめとし、これまでに日本音楽集団、松村エリナ氏、真鍋尚之氏等からの委嘱を受ける。

 2001年5月にリリースされたトランペット奏者 曽我部清典氏のアルバム「トキノコダマ」に独自の視点で編曲したビートルズの「with a little help from my friend」が収録されている他、ピアニスト門光子氏のCD「風の記憶」に、「哀歌(monody)」が、武満徹、藤枝守、三木稔、西村朗、吉松隆ら日本を代表する作曲家の作品と共に収録されている。2002年春 M-A Recordingからリリース、同年レコード芸術準特選版に選定された。同氏の次作アルバム「東方逍遙」では、アジアのポピュラーソングを透明感のあるサウンドで編曲する他、新作が収録され、2003年レコード芸術準推薦版に選定された。

 美術や空間におけるサウンドデザインの活動も活発に行い、2005年 NPO法人 芸術資源開発機構とのコラボレーションで、埼玉県立近代美術館のためのサウンドインスタレーションをコンピュータプログラミングにより制作する。美術作家井上尚子氏とのコラボレーションは10年に及び、ICC、スパイラル、Bankart等における同氏作品への音響デザインを多数提供する。2006年からは同氏とのユニット「Air Plug」として活動を改めて開始し、福島現代美術ビエンナーレに作品を出展。

 2002年から東京電機大学 理工学部 情報システムデザイン学系アミューズメントデザインコース助手として「作曲・音楽文化研究室」を主宰。電子音響音楽等テクノロジーが関わった新しい音楽の表現研究や制作指導を、技術指導にとどまることなく「テクノロジー・アート・情報・社会」等の多眼的視点から捉えた授業やゼミを展開、後進の指導にあたっている。

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